カーテンコール:にわかファンのヅカブログ

にわかヅカファンが、観劇感想や人事についての戯言を気ままに語ってます。全組鑑賞派ですが、特に雪組贔屓。

思い出の作品「紫子」:ウン十年ぶりの再鑑賞

またしても、ものすごく久しぶりの更新です。
あいかわらず、スカステ録画をコツコツ視聴しております…が、仕事が忙しいこともあり、なかなか消化が進みません。
(「龍の宮物語」絶対一気観したいので、まだ観られてません…)


しかし、「これだけは!」と観たのが、月組「紫子」(2010年)。
原作とともに個人的に思い入れの深い作品なので、久しぶりに感想を書きたいと思います。
原作、宝塚版ともにネタバレしてますので、ご注意くださいませ。


人生初の宝塚生観劇だった「紫子」初演と原作との出会い

私にとって人生初の宝塚生観劇が、1987年に星組で上演された「紫子」初演版でした。


まだ幼かったので、物語をすべて理解できたわけではなかったのですが、今でもいくつか印象的な場面を覚えています。
そして、ラストシーンでは号泣した記憶が…


その後、地方に住んでいたこともあり宝塚とは縁の薄い生活を送っていましたが、偶然書店で原作「とりかえばや異聞」(木原敏江先生)を見かけました。
懐かしさのあまり読んでみたら、面白い!けど、宝塚と結末が違う!?


宝塚版では悲劇的な結末なのですが、原作は(一応)ハッピーエンド。
読後感が観劇時の記憶と随分異なるのが印象的でした。


それからさらにウン十年…今「紫子」を観たらどんな感想を抱くのかを楽しみに、今回のスカステ放映を心待ちにしていました。


ウン十年ぶり再鑑賞の感想:原作を知っているゆえに言いたくなること


さて、実際見てみての個人的感想ですが、まずは、記憶に残っている場面を再び見ることができて感無量でした。
やはり生の感動が残すインパクトはすごいものがありますね。


内容について一言で言えば、


「よくまとめていて、宝塚的に美しいけれど、若干説明不足&悲劇すぎる」
かな。


かなり情報量が多い原作を、一幕ものに美しくまとめているのはさすがだな、と。
また、原作では明確に描かれていない定嗣(明日海さん)→紫子(霧矢さん)の想いや、同じ女(紫子)を愛した風吹と定嗣の間に生まれる信頼感、紫子が嫉妬に苦しむ場面の表現などは、宝塚らしくて良かったです!


一方、佐伯で再会後、最初碧生として風吹(青木さん)に接していた紫子が、ちゃんと風吹に身代わりの件を打ち明けるくだりは欲しかったですね。
不器用で強情でムチャばかりだけど情けに厚い紫子だからこそ、風吹は自分もムチャをして助けたくなるわけですが、二人の想いが深まっていくプロセスをもう少し丁寧に描いてほしかったです。



あと、これは原作を知っているがゆえでもあると思うのですが…



宝塚版は、紫子含め主要人物がかわいそうすぎませんか?(泣)


せっかく前半場面では、紫子の破天荒な魅力をコミカルな部分も交えて表現しているのに、後半はシリアス悲劇一直線…
(なのに、若干説明不足なので、いまいち感情移入しきれず…)


ここは、原作準拠で最後はハッピーエンドのほうがバランスがいいと思うのです。
風吹の「鬼」設定は尺不足で難しいとしても、特殊能力設定は残しておけば、風吹に碧生暗殺という特殊任務が命じられたのもすんなり納得できますし、戦で紫子を陰から守るというのも無理なく表現できる。


ついでに、最後定嗣は(原作どおり)生き延び、紫子&風吹は二人で安全な地へワープしてラブラブ、「佐伯のとりかえばや異聞は今でも語り継がれている…」で締め。


悲劇のほうが美しいのかもしれませんが、こんなに(本来であれば引き受ける必要のない)過酷で無謀なミッションを、人情の厚さゆえに体をはってこなした紫子と、彼女を一途に護り続けた風吹(&定嗣)が死ぬのは、報われなさすぎで。。。
原作が、切ない話ながら何度も読みたくなる爽やかな読後感なので、原作ファンとしてはそのトーンを取り入れてほしいと願います。


もし「紫子」再々演があるとしたら、是非ご検討いただけないかと思う次第です!!
(柴田先生作品なので改変は難しいかもしれませんが…)


さっくりキャスト別感想


もう10年前の作品なので、主要なキャストはほぼ皆さん退団されていますが、簡単にキャスト別感想を。


紫子の霧矢さん、お芝居が本当に上手だなぁと思いました。なんだか暖かみのあるトップスターさんですね。嫉妬の舞やお歌も素敵で、実力派スターの呼び声が高かったのも納得です。「馬を引け!」がかっこよかった!


風吹の青木さん、お顔がちょっと宙組の瑠風輝さんに似ていて親近感!
ひたすら誠実で一途な宝塚版風吹にはまっていたと思います。
ちなみに、原作準拠の人外な風吹なら、宝塚グラフ6月号で扮装しているという彩風さん、ピッタリと思います!


舞鶴姫の蒼乃さん、作品の性質上役は軽めなのですが、きちんと自分を持っていながらたおやかで切ない舞鶴姫を印象的に演じられていました。


定嗣の明日海さん。今回再鑑賞して一番驚いたのが、定嗣の役の大きさ!原作比ですごくいい役になっている…!
でもそれも納得するくらい、爽やかな魅力にあふれて輝いてました。
やっぱり、ラストで死なせちゃうのはもったいない~。


外記の星条さん、原作と異なって外記が死ぬのは正解と思います。
悪役、似合いますよね~。


なんだかんだ言って思い出深い作品の再鑑賞は面白い


色々書きましたが、やはり生で見て思い入れのある作品を再鑑賞するのはとても楽しい経験でした!
そして、自分で思っていた以上に「とりかえばや異聞(紫子)」のキャラクター達を愛していたんだなあ‥と気付かされました。
もし原作未読でご興味のある方は、是非原作も読んでみてくださいね。


また生観劇で思い出を作り、それを何年後、何十年後かにふり返ることを楽しみにしつつ、引き続き録画消化に勤しみます!